オススメ本『職人の手』 (第303回)

〇タイトル:『職人の手

〇著  者:山﨑 真由子/著

〇出 版 者 :KTC中央出版   2019(令和元)年

〇内  容:「職人の手」と聞いて,どのような手を思い浮かべるでしょうか。著者の山﨑さんは,96歳のガラスペン職人の手を,「美しくも尊い」と評しました。この本では,様々なものづくりの職人の「手」の写真とともに,職人のものづくりに懸ける矜持や伝統を次世代に継承していくさまが綴られています。取材した職人は30代から90代の16名で,洋傘制作,(ゆい)桶師(おけし),陶工,クリーニング師,日本茶農家など,その職は多岐に及びます。
 例えば,桐たんす職人の田中さん曰く,桐たんすの新規発注はここ10年減ってきて,今は専ら修理や作り直しがほとんど。それぞれのライフスタイルに合わせた桐たんすを考えて,作り直すのだそうです。それぞれの要望を汲んで調整を重ね,現代の生活に合った桐たんすに生まれ変わらせる。この技術は,何十年もの地道な鍛錬に裏打ちされたものであるとともに,伝統を絶やさないために,時代に即応して柔軟に対応する職人の工夫もうかがわれます。16名の職人の手を見て,その人生と伝統の技に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

〇請求記号:【502.1/119ヤ】 

 (調査情報課 梅本)