オススメ本『ピアノを弾く手 ピアニストの手の障害から現代奏法まで』 (第309回)
〇タイトル:『ピアノを弾く手 ピアニストの手の障害から現代奏法まで』
〇著 者:酒井 直隆/著
〇出 版 者:音楽之友社 2012(平成24)年
〇内 容:
著者は,東京女子医科大学整形外科で音楽家外来を担当している医師で,この本ではピアニストの手に注目し,無理な演奏によって起こりやすい障害や,演奏法の改善により障害が減少した歴史などをまとめています。
第1章の「ピアニストの理想の手」では,歴代の名ピアニストたちの演奏の特徴とともに,手の形についても図版入りで詳しく解説しています。例えば,「指の長さと手の甲の長さがほぼ同じで、バランスがとれている」ショパン,「各指とも太く、「巨大な手」という印象を与える」一方で「小指が短い」リスト,「恐ろしく幅が広く、各指の長さにあまり差のない」ルビンシテインなど。
解説を読みながら彼らの手を見ていると,この手でいったいどんな音が奏でられていたのか,想像が膨らみます。本の中で紹介されている,当時,実際に演奏会を聴いた音楽家たちの熱のこもったコメントにも注目です。
〇請求記号:【763.2/112サ】
(調査情報課 茅野)