オススメ本『ポスター芸術の歴史』(第312回)
タイトル:『ポスター芸術の歴史:アートミュージアム
ミュシャ、ロートレックからシュルレアリスムまで』
著者:デイヴィッド・ライマー/著,海野 弘/解説,
井上 廣美/訳
出版者:原書房 2020(令和2)年
内容: 1880年から1940年頃のフランスを中心として商業的に作られた歌劇や生活用品,旅行の宣伝などのポスター100点以上を収録し,各年代の芸術運動や作家の経歴を解説しています。
著者のデイヴィッド・ライマーは美術とグラフィックデザインの歴史について論文を執筆するかたわら,展覧会を開催する等精力的に活動しています。この本は作家ごとに代表的なポスターが選ばれており「そのセレクションがすばらしい」と解説の海野弘は賞賛しています。
ポスターは個性の差が顕著で,例えば表紙のミュシャの絵は細やかに装飾された背景と華やかな女性が印象的です。マリウス・ロシヨンの「ミシュランマン」ことビバンダム(タイヤを積み重ねたようなキャラクター)のポスターでは,現在の優しそうなキャラクターとは異なる初期の不気味でユニークな姿を見ることができます。
鮮明な印刷によりアート作品集としてももちろん楽しむことができるほか,構図や文字の配置,商品の見せ方のパターンが,ポスターやチラシ作りの参考になるかもしれません。
請求記号:【L727.6/120ラ】
(調査情報課 中森)