おススメ本『秋』(第307回)

○タイトル:『

○著  者:かこさとし/文・絵

○出 版 者:講談社 2021(令和3)年

○内  容:
 作者は,だるまちゃんシリーズでおなじみのかこさとしさんです。
 秋の澄んだ空気やおいしい果物など秋が好きだったかこさんが,「とてもいやな秋だった」という戦争体験について語った絵本です。元々,手描きの紙芝居だった原稿を,2018年にかこさんが亡くなられた後に,娘さんが中心になって制作されました。
 1944(昭和19)年,日本軍の戦闘機によるB29への体当たり攻撃が行われました。飛行士は,攻撃した後に機体から脱出し,落下傘で降下することになっていました。ところが,傘が開かず,墜落死してしまう事故が起きたのです。かこさんは18歳の秋,落下傘が開かず,絡まったひもをほどこうと必死に手を動かしながら落ちていく飛行士を目撃しました……。
 この戦争では,かこさんの周りの大切な人も亡くなりました。「澄んだ秋晴れは,戦争のためにあるんじゃないんだ」というかこさんの言葉には,重みがあります。
 改めて表紙の絵を見ると,胸が締め付けられるはずです。戦争のない世の中を願わずにはいられません。

○請求記号:【E/カ】

(事業課 平田)