Q1 何歳くらいから,読んであげればいいのでしょうか?

A1
 赤ちゃんが,絵本に関心を示し始める時期については,4か月から10か月等いろいろな説があり,個人差もあるので,「いつから」と一律には言えません。「読んであげたい」と思ったときに,始めてみてはいかがでしょうか。
 まずは,赤ちゃんの機嫌の良い時を選んで,ゆっくり,語りかけるように読んでみましょう,赤ちゃんにとっては,優しい声や温もりを感じる心地よいひとときです。初めのうちは,反応が返ってこないかもしれませんが,赤ちゃんと一緒に絵本の世界で遊ぶつもりで読んでいるうちに,興味を示してくれる時が来ることでしょう。

Q2 絵本に全く興味がないみたいなのですが?

A2
 初めのうちは,落ち着いて最後まで聞くことができない赤ちゃんがほとんどです。絵本をなめたり,かじったり,放り投げたりする子もいるかもしれません。また,絵本を広げても,逃げ出したり,きょろきょろしたりして集中できないこともあるかもしれません。そんな時は,「本」よりも他に気になることがあるのかもしれないし,もっと自分に構ってほしいのかもしれません。無理をして,読み続ける必要はありません。赤ちゃんの状態に合わせて,関心を示してきたら,続きを読んであげるようにしましょう。

Q3 せっかく読んでいるのに,途中でページをめくってしまうのですが?

A3
 赤ちゃんにとって,絵本はおもちゃの一つのようなものです。赤ちゃんは,絵本の内容よりも,ページをめくること自体が楽しいのかもしれませんし,自分の見たいページがあるのかもしれません。絵本は,最初から最後まで通して読まなくてはいけないというものではありません。赤ちゃんのペースに合わせて,開いたページの絵を見ながらお話ししたり,「次は何かな?」と声をかけたりして,ゆったりした気持ちで一緒に楽しみましょう。

Q4 同じ絵本ばかりを,何度も「読んで」とせがまれるのですが?

A4
 是非,読んであげてください。赤ちゃんは,読んでもらう度に,新しい発見をしているものかもしれません。また,次はこうなるということが分かっていて,そのとおりになるのも,赤ちゃんにとってはうれしいことです。
 「いろんな本を読んでもらいたい」という大人の気持ちも分かりますが,同じ絵本を何回も読むということは,その絵本が赤ちゃんにとって,それだけ魅力のあるものなのかもしれません。同じ絵本ばかり読むことは,読書の世界を狭めているのでなく,本を好きになるための大切な体験だと考えてみてはいかがでしょうか。

Q5 「乗り物」の本にしか興味を示さないのですが?

A5
 特に男の子は,「乗り物」の本が大好きです。なかなかそれ以外のものに興味を持たないことも多いようです。図鑑や写真は,眺めるだけでも楽しいものですが,カタログ的な楽しみ方だけでなく,一緒にストーリーを作ったりするのもよいかもしれません。また,乗り物の登場する「おはなし」もたくさんありますので,そういった絵本を読んであげるということもできます。

Q6 是非「パパ」にも,絵本を読んでやってほしいのですが?

A6
 パパに絵本を読んでもらうのは,ママとはまた一味違う,良さがあります。パパと赤ちゃんが過ごすひとときに,是非,絵本を楽しむ時間を加えてみてください。
 パパが登場する絵本も,たくさんあります。

Q7 絵本を読むと字が早く覚えられますか?しつけにもいいでしょうか?

A7
 絵本は,早期教育やしつけのための「教材」ではありません。いろいろな知識が絵本を読むことで身に付くこともあるかもしれません。が,赤ちゃんにとっては,絵本は,優しい声で,自分に話しかけてもらえるコミュニケーションの時間であり,温もりを感じるスキンシップの時間でもあります。一緒に絵本を楽しむことで育まれる心の安らぎは,何にも代えがたいものではないでしょうか。

Q8 一日何冊くらいを目安に読めばよいのでしょうか?

A8
 「何冊読まなくては。」とか「何分読まなくては。」という基準はありません。好きなときに好きなだけ読んであげてください。赤ちゃんの状態に合わせて,おやすみ前や食事の後など,赤ちゃんの生活のペースに合わせて,絵本を読む習慣を少しずつつけていくというやり方もあります。

Q9 赤ちゃんと絵本に関して,参考になる情報はありますか?

A9
ブックスタート(NPOブックスタート)
 「ブックスタート」は,市区町村自治体が行う0歳児健診などの機会に,「絵本」と「赤ちゃんと絵本を楽しむ体験」をプレゼントする活動です。

「親の力をまなびあう学習プログラム」(広島県教育委員会)
 親が親としての役割や責任を自覚し,子育ての技術や知識を学ぶ講座を県内各地で開催しています。
 赤ちゃんや小さい子供のいる家庭での読み聞かせ支援については,「おひざにだっこでおはなししましょう(絵本をひらいてみませんか?),(読み聞かせ,どうしてる?)」等の親しみやすいワークシートを基に,ファシリテーター(講師)の進行により身近なエピソードを楽しく話し合います。

Q10 どんな絵本を選べばよいのでしょうか?

A10
 たくさんの絵本の中から,どれを選んでいいのか迷ったときには…。

読み継がれている絵本
 絵本を探す方法の一つに,「読み継がれている絵本」という視点があります。新しい「赤ちゃん絵本」もたくさん出版されていますが,時代を超えて子どもたちに支持されている絵本には,それだけの魅力を備えた作品が多くあります。
 図書館には,長年読み継がれたたくさんの絵本があります。その中から読んでみては,いかがでしょうか。
 また,図書館の職員に,絵本の選び方や読み方を相談していただくこともできますので,御利用ください。

ブックリスト・書評を参考に
 この「絵本ガイド」のように,図書館の職員や子どもの本の専門家たちが作成したおすすめ絵本のブックリストや書評が,たくさん出版されています。それらを参考にして選ぶのも一つの方法です。

実物を見て…。
 絵本選びの基本は,赤ちゃんの好きな本,そして大人が,是非読んであげたいと思う本です。書店や図書館で,いろいろな絵本の中から,気に入るものを,探してみましょう。

絵本を選ぶ時の参考になる本
 『100冊の絵本と親子の3000日』福沢周亮,藪中征代/編,三木みな子,村田光子,藪中征代,吉田佐治子/著,教育出版 2014
 『赤ちゃんが大好きな絵本』赤木かん子/著,加藤美穂子/著,ポーラスタァ 2011
 『赤ちゃんにどんな絵本を読もうかな』徳永満理/著,かもがわ出版 2009
 『赤ちゃんが喜ぶ読み聞かせ』徳永満理/著,フォーラム・A 2004
 『赤ちゃんの本棚』ドロシー・バトラー/著,百々佑利子/訳,のら書店 2002
 『わたしの絵本論:0歳からの絵本』松居直/著,国土社 1981

(参考) 『赤ちゃんと楽しみたい絵本ガイド』(広島県立図書館/編集,広島県読書推進運動協議会)