広島県立呉三津田高等学校訪問記


広島県立呉三津田高等学校訪問記
~学校司書による学校図書館活性化取組事例のご紹介~

 令和6年9月27日(金)に呉三津田高等学校を訪問しました。
 広島県立呉三津田高等学校は、令和5年度に学校図書館のリニューアルを行っています。
 令和6年4月に着任された貞森惠利加主任学校司書にインタビューしましたので、その内容をご紹介します。

【春、着任当初に行ったこと】

〇 着任前の令和5年度の図書館リニューアル事業により、館内は、広く、明るく感じられるようになっていました。自習を目的とした利用が多いとのことだったので、令和6年度からは、まず、生徒の皆さんに足を運んでもらえるよう展示を実施するとともに、館内整備も行いました。最初に行った展示は、進級・入学で緊張した心をほぐすような本を集めた「ちょっとひといき…こんな本はいかが?」です。また、館内整備では、配架是正・書架見出しの作成から始めました。実際に書架を見て、必要な見出しの項目を洗い出し、分かりやすい言葉に置き換えるなどして作成・設置しました。

〇 古い百科事典は廃棄されていたので、新しい情報が載っており、分かりやすい百科事典として『総合百科事典ポプラディア』第3版(ポプラ社、2021年)を購入しました。

〇 生徒・教員同様、学校司書にもiPadが配付(貸与)されています。
図書館だよりや展示の紹介、イベントの告知など、校内への情報発信は、Classiを使っています。

〇 どの時期にどんな展示をしたか等、記録を取っています。来年度以降もその記録を参考に、計画的にかつ様々なテーマで展示等を実施していくためです。

【ニーズを捉えて…情報センター、学習センターとして】

〇 生徒たちの進路関係の情報への関心は高いので、「新聞切り抜きコーナー」を設置しました。地域に関する話題や考えを深めるために活用できそうな記事を収集・整理して置いています。受験の時期が近づくにつれ、面接や小論文の参考にするために利用する生徒が増えました。先生方にも好評で、生徒を連れてこのコーナーをめあてにやって来てくれます。

〇 1年生の探究の時間(GAYA)にはディベートを行っています。関連本を選書し、不足分は県立図書館から借りて用意したうえで、各教室に持って行き、資料の活用を図っています。
情報にたどり着きにくい本については、参考になりそうなところにしおりを挟んでいるものもあります。

〇 進路関連の本を利用する生徒が多いので、大学の学部学科、職業・資格に関する本や、その職に就いている人が書いた本などを集めて、進路コーナーとして設置しています。

〇 くつろげるよう、ソファスペースには、本だけでなくパズル等も置いています。勉強の合間の気分転換や、ちょっと一息ついて「できた!」と小さな達成感を味わえるコーナーとなっています。生徒に人気のコーナーのひとつです。

〇 インプットだけでなく、アウトプットの場としても機能する図書館を目指し、作業や話し合いの際等にも使える文房具コーナーを設置しています。

【県立図書館の活用】

〇 県立図書館の「団体貸出」や「図書セット」で借りた本を、展示等で活用しています。令和6年度は、県立図書館から団体向け図書の無償譲渡を受けました。
また、学校で対応しきれないレファレンスの調査を依頼したり、図書室運営に関する相談をさせてもらったりと、物的・人的ともに様々な面で県立図書館を活用しています。

 【心がけていること と これからの目標】

・ 朝・昼・放課後と勉強のために来室する生徒が多い中、少しずつ、本を借りる生徒も増えています。「本って面白いね」「図書室に行けば何かあるかも」と思ってもらえるよう、様々な取組を継続して実施していきたいと思っています。
・ 生徒への働きかけはもちろんですが、先生方とつながり、連携することを大事にしています。
・ 受験対策をする3年生だけでなく、1、2年生の図書館利用も増やすよう工夫したいと思っています。

・ 他校の学校司書とのつながりも大切だと考えています。他校から訪問を受けることもあります。
・ 何か分からないこと・気になることがあった時、県立図書館に気兼ねなく質問して構わないということを、元県立図書館職員として他の学校司書に伝えていきたいと思っています。