オススメ本『科学と科学者のはなし:寺田寅彦エッセイ集』(第276回)

○タイトル:『科学と科学者のはなし:寺田寅彦エッセイ集』
○著  者:池内 了/編
○出 版 者:岩波書店  2000(平成12)年
○内  容:
 寺田寅彦は青年期に二人の先生と出会いました。一人は物理学の田丸卓郎,もう一人は,寺田が俳句に強い興を持つようになるきっかけを与えた夏目漱石でした。科学と文学の二つの学問に強く惹かれた寺田は,自然災害の多い日本の防災についての研究を行いながら,ユーモアにあふれた多くの随筆を書きました。
 本書では,寺田のふとした日常の疑問に対する考えや,熱中していた俳句づくりの様子などが,子どもから大人までを対象に,明解な言葉で綴られています。
 夏目漱石との出会いと別れが,寺田にとってどれだけ大切で,得難いものであったかということが,本書を読むと伝わってきます。
 自分の一番多感な時代に,自らの生き方を決定づけるほどの先生と出会えたということへの感謝を忘れなかった寺田は,短い生涯ながらも,後の世に功績を残しました。

○請求記号:【404/テ】

 (資料課 前田)