職員からのお薦め本(9月15日)

○タイトル:『東京に暮す:1928-1936』
○著  者:キャサリン・サンソム/著
○訳  者:大久保 美春/訳
○出 版 者:岩波書店  1994(平成6)年

○内  容:英国の外交官の妻であるサンソム夫人が東京で暮らしたのは,軍部の力の強まる時代でした。しかし本書ではそのような暗い時代背景はほとんど描かれていません。サンソム夫人は,母国である英国の人たちに,陽気で,美を愛する,大好きな日本人のことを知ってもらいたいという気持ちを強く持っていました。
 「まず相手に同情をよせ,そうしているうちに相手が好きになること」が外国人を理解する唯一の方法だと考えたサンソム夫人は,日本を理解しようと努力し,日本人を暖かい眼で見つめています。
 日本が戦争へと突き進んでいく時代に,このような英国人女性がいて,己の感じるままに,ありのままの日本を描ききったことの素晴らしさ。国同士が理解し合い,協力し合うことの必要性を,明るく暮らす庶民の姿から浮かび上がらせた彼女の視点は,あまりに鋭く,また優しさにあふれています。

○請求記号:【B302.1/94サ】

資料課 前田