オススメ本『ゆとろぎ:イスラームのゆたかな時間』(第286回)
〇タイトル:『ゆとろぎ:イスラームのゆたかな時間』
〇著 者:片倉 もとこ/著
〇出 版 者:岩波書店 2008(平成20)年
〇内 容:
「ゆとろぎ」は,著者が考えた言葉で「ゆとり」と「くつろぎ」を足して,「りくつ」を引いたものだそうです。これは,長年研究してきたイスラムの世界の「ラーハ」(喜び,幸せ)を表現した言葉だとか。
日本では,ゆとりは何かを成し遂げたあとに御褒美のように与えられるイメージですが,「ラーハ」は人生で最も大切にすべきと考えられています。
それは,贅沢な食べ物自体に重点を置くのではなく,一緒に食べることができた相手との幸せなひとときを心から喜ぶという考え方でもあります。
「ラーハ」は,実は私たち日本人の日常生活にもあります。
例えば,イルム(叡智・知識)を得ること,祈ること,旅をすること,寝ること,ごろんとすること,詩を作ること,うたうこと,瞑想すること,ぼけーとすること,家族と一緒にいること,友と語らうこと等。
本当のゆとりとは何か,考えさせられる一冊です。
〇請求記号:【382.2/108カ】
(副館長 正井)