オススメ本『稲生物怪録(いのうもののけろく)』(第294回)            

〇タイトル:『稲生物怪録(いのうもののけろく)

〇著  者:京極 夏彦/訳,東 雅夫/編

〇出 版 者:KADOKAWA 2019(令和元年)年

〇内   容: 

 三次市を舞台にした有名な物語『稲生物怪録』をコンパクトにまとめた文庫本です。様々な妖怪たちが出てくる不思議な世界を推理作家の京極夏彦たちが魅力的に紹介しています。
 江戸時代中期,三次藩に住む稲生平太郎が肝試しに参加した後,住んでいる屋敷に次々と怪異現象が起こるようになりました。
 妖怪たちの技はバリエーションに富んでいます。恐ろしい物の怪が出てくる話から,天井にハチの巣,畳がネバネバになる話など。
平太郎は最初のうちは警戒していましたが,慣れてくると大胆になり淡々と冷静に対処するようになります。妖怪が出てきても気にせず就寝したり,搗(つ)き臼がひとりでに動きはじめると精米してみようと米を入れてみたり。そんな彼にも思わず狼狽(うろた)えてしまう出来事が…。
 フルカラーで収録された『稲生物怪録絵巻』を眺めながらその日に起こった出来事を読んでいると,さながら夏休みの日記を読んでいるようです。次にどんなことが起こるのか,わくわくしながら読める一冊です。 

〇請求記号:【H388.81/キヨナ119ア】

 (調査情報課 中森)