オススメ本『ロストロポーヴィチ』(第295回)

タイトル:ロストロポーヴィチ

著  者:アレクサンドル・イヴァシキン/編著  秋元里予/編訳

出 版 者:春秋社 2007(平成19)年

内   容:ピアニストやヴァイオリニストのように,チェリストが広く活躍できるようになったのは,旧ソ連出身のロストロポーヴィチの存在が大きいと言われています。この本は,ロストロポーヴィチの音楽家としての功績と人生を,コンサート形式で紹介したドキュメンタリーです。

旧ソ連では,国家体制に対して批判することは命にかかわりました。ロストロポーヴィチは,政府に批判的な作品を発表したノーベル文学賞作家のソルジェニーツィンを援助したことで,国を追われてしまいます。そのためロストロポーヴィチは,ソ連が崩壊するまでの間,人生のどん底を味わうことになりました。

30代では,年に200回公演し,世界30ヵ国に招聘(しょうへい)されたロストロポーヴィチ。コンチェルト(協奏曲)1曲が終わると,弓には馬の毛数本しか残っていなかったほどエネルギッシュな演奏だったと言われています。それは,神から賜った能力をひたすら人の心を温めることに使いたいという熱意の現れだったのではないでしょうか。

請求記号:【762.3/107イ】           

                                       (事業課 小土井)