オススメ本『詩集 愛について』

〇タイトル:『詩集 愛について

〇著  者:若松 英輔/著

〇出 版 者:亜紀書房 2020(令和2)年

〇内   容:

 随筆家,批評家であり哲学や宗教にも造詣の深い著者は,NHKの「100分で名著」に度々出演し,難しい著作の神髄を易しく解説する手腕には定評があります。そんな若松さんが,真正面から愛を語った詩集です。

 「あなたは 大切な人 白と黒と 灰色しかなかった 私の人生に 色を注ぎ込んでくれた人(後略)」(大切な人)

 「奇蹟は あるとおもう こんなに多くの ひとがいるのに あなたに会えて わたしは ほんとうの わたしに 会えたから」(奇蹟)

 易しい言葉でひらがなを印象的に使用する書きぶりは,一文字一文字にこだわって静謐な世界観を表現した詩人八木重吉を連想させます。

 36の短い詩を読み終えて深紅で縁取られた裏表紙を閉じるとき,こんなに女心がよく分かる著者は,一体何者なんだろうと不思議な気持ちになる本です。

〇請求記号:【911.56/120ワ】

 (副館長 正井)